堀江真鯉男/発声の教科書

「声=息=体」のボイトレ

第19回「歌う時って、口を開けるべき?」

こんにちは!声楽家の堀江真鯉男です。

今日皆さんにお伝えするのは、

 

「歌う時、口って絶対開けた方がいいの?」

 

という悩みの解決方法です。

 

歌の練習でよく耳にするのは

「もっと口を大きく開けて!」

という言葉ですが、

 

本当にそれが正しいのでしょうか?

口を大きく開ける、と言っても、

どの程度開けたらいいのでしょう?

 

今日は、そんなお話をさせていただきます。

 

口は開ける開けない

「口を開けて」という指示を出す時は多くの場合、あごを開いてほしい時と、唇を動かしてほしい時です。

 

実はここに、ボイストレーニングについて学んでいる多くの人が間違ってしまうポイントがあります。

 

トレーナーが「唇を開けてほしい」という目的で口を開けてと言った場合に指示が不明確であると、生徒はあごを大きく開けてしまい、結果的に喉が開きすぎて

 

「息がすぐなくなって、長いフレーズを歌いきることが出来ない」

タンギングブレス(曲間に一瞬で息を吸う)の時に、上手く息が吸えない」

 

といった問題が起こってしまいがちです。

本当に大切なことは「口を開ける」ではなくて、

 

「声の通り道(声道)を開ける」

 

ことなのです。

 

道を開けるってどうやるの?

声道には「唇、歯、舌、硬口蓋、軟口蓋、咽頭喉頭」など多くの器官があります(細分化すると実際はもっと細かいのですが!)

 

「音程が上手く取れないなあ」

「声がこもってしまう、どうしたらいいんだろ」

 

という人は、いま挙げた声道の細かい部分をチェックしてみて下さい。

 

発声や歌唱において何かが上手くいかない人は、「鼻腔を響かせなきゃいけない」とか「のどを開かなきゃいけない」といった何らかの思い込みによって「特定の部分」で歌おうとし過ぎているパターンがとても多いです。

 

あごは開いてるけど唇が内側に巻いている人、

歯と歯は開いてるけどのどか閉まっている人、

のどは開いているけど舌が硬い人…

 

自分の問題点はどれなのか?

どこが原因で歌いにくいのか?

 

そうした意識を持つことで、すこしずつ発声は改善されていきます。

 

今日のトレーニン

今日ご紹介するのは、声道を開くトレーニングです。

 

声道を開くアプローチ

①あごを開き、両手を頬に添えてムンクの叫びの真似をする

②そのまま唇だけパクパク動かして「Ma-Ma-Ma」という発音をする

③そのままロングトーンやスケール、アルペジオといったボイストレーニングを行う

 

 

 

今日のブログは以上です!

久々のブログになってしまいましたが、また折を見て更新していきます!こちらの記事の内容はYouTubeでも取り上げていきますので、そちらもチェックしていただけると練習しやすいかと思います。

 

動画は教材として使える内容もコンテンツとして上げていくので、お楽しみに!

 

ではまた次回、どこかでおあいしましょう!🍀

第18回「型と次元」

こんばんは!声楽家の堀江真鯉男です。

さてみなさん。

音楽の部活やレッスンなどで

「アドバイスをくれる人によって言うことが違う!どれを信じたらいいの?」

という悩みを持ったこと、ありませんか?

 

今日はそんな、

 

「複数のアドバイスをもらった時、どれを信じたらいいのか?」

 

についてお話します。

 

レーニングの落とし穴

何かに一生懸命に取り組んでるとき、自分の視点だけだと行き詰まってしまって…先輩や指導者からのアドバイスが欲しい時って、ありますよね。

 

歌で言えば、

 

「口ってもっと開けた方がいいのかなあ」とか、

「いや、開けすぎない方がいいのかな?」

 

なんて悩みが出てきたりします。

あるいは

 

腹式呼吸が大切なら、お腹はふくらませた方がいいのかな?」とか

「お腹は膨らませず、息は背中に吸えって教わったなあ。どっちがいいんだろう」

 

なんて悩みもあるのではないでしょうか。

アドバイスを思いながら練習するとき、果たしてどの意見を採用したらいいのでしょうか?

 

すべての意見を聞こうとすれば、相反した意見が自分の中でぶつかってしまい、時にはそれがスランプの引き金となることもあります。

 

こうした悩みは、自分のトレーニングを行う上で解決しておく必要があります。演奏能力を高めるという意味でも、いつか自分が誰かを指導する時に役立つという観点からも、この悩みを昇華するための結論を出しておくべきでしょう。

 

レッスンの現場で大切なことは、

 

「型の熟練度や目標設定によって、指導内容を変える」

 

ことだと思います。様々な声のタイプや癖を持つ人がいる中で、全員に同じアプローチの指導をするなんて絶対にありえません。

 

この事実を知っているだけで、「周りはみんな同じトレーニング方法で上手くなってるのに、自分だけ上手くいかない。なんでだ?」という落とし穴を回避することができます。

 

型の習熟度

「型の習熟度」とは何のことでしょう?

これは学んでいる領域やジャンルによって様々なものがあると思いますが、大まかに分けると「初心者の型」「中級者の型」「上級者の型」があり、初心者から中級者へ、中級者から上級者へ、というように「段をあがっていくことでより高度な技術を身につけることができる」という考え方です。

 

初心者、中級者、上級者については、紀元前から続くとある思想の中では

 

星幽的次元/初心者の型

論理的次元/中級者の型

(魔境・反転の次元)/型破り

至高の次元/上級者の型

 

という分け方がされていました。

歌唱スキルにおける代表的な型の例を上げると、

 

初心者の型/ミドルボイス型、ファルセット型

中級者の型/チェストボイス型、ヘッドボイス型

型破り(これまでの学びを反転させる)

上級者の型/ベルティング型、ミックスボイス型

 

などがあります。

さて、さっきから、なにやら気になるワードが出てきますよね?

 

「型破り、反転、魔境」

 

という言葉です。

実はこれが、多くの歌手を悩ませている根本的原因となっています。

 

型破り?反転?魔境?

これらが声楽に、どのような意味を持っているのでしょう。

 

型破り

=これまでの学びと反転する?

たとえば初心者に声楽レッスンを行う時は「もっと口を開けて!」とか「もっとお腹を使って!」「もっと気持ちを込めて!」という抽象的指導を行うことが多くなります。

中級者には「身体の仕組み」「呼吸のシステム」「声区のメカニズム」など論理的指導を行うことが多くなります。

さて、ここまでは「自分の能力をプラスしていくこと」にエネルギーを注ぐのですが、中級者から上級者に行く過程では、「プラスする」という意識だけでは成長しなくなってしまいます。それどころか「何もかもをやりすぎてしまい、大袈裟な歌しか歌えなくなる」というジレンマにも陥ってしまいます。

 

ここで登場するのが

「型破り」

というワードです。

これまでの学習の中で身につけてきた「プラスの方法論」と真逆の「マイナスの方法論」を自らに要求しなければ、より高位次元の発声にはたどり着けません。たとえば

 

「もっと口を開けて!」

「口の開けすぎは声区バランスを崩す、開けるな」

 

「もっとお腹を使って!」

→「お腹を膨らませれば横隔膜と骨盤底筋への腹圧が下がる、お腹は絶対膨らませるな」

 

「身体、呼吸、声区について考えろ」

→「考えすぎるな、感性はメカニズムだけでは表現できない」

 

というように、これまでの「○○しよう」という学習から「○○するな」と反転させた学習が必要になります。

 

これまでの「プラスの学習」から反転させた「マイナスの学習」はこれまでの型を破り成長を促す一方で、スランプを引き起こしたり、自己肯定感を著しく下げたり、虚脱感や倦怠感に苛まれるといった現象も引き起こします。そうしたスランプから抜け出せなくなることを「魔境」と言います。

 

自分はどの型にいるのか?

レーニングの中で大切なことは、自分の立ち位置を把握することです。つまり「自分の型のレベルはどれくらいなのか?」「次はどの型を目指せばいいのか?」という分析が、これまでの自分から更に成長していくために必要です。

 

ゲームが好きな人向けにスキルツリーを作るなら、

 

星幽的次元(初心者)

声区

→ミドルボイスLv1

→ハイラリンクスLv1

→ローラリンクスLv1

→ファルセットLv1

→呼吸技法Lv1

→身体技法Lv1

 

論理的次元(中級者)

ミドルLv5で解放→エッジボイス、ウィスパーボイス

ミドル&ローラリLv5で解放

→チェストボイスLv1

ミドル&ハイラリLv5で解放

→ヘッドボイスLv1

 

反転次元

呼吸&身体技法、チェスト、ヘッドLv10で解放

→呼吸と身体のエネルギーLv1

→声区融合Lv1

 

至高の次元(上級者)

上記全てLv10で解放

→ベルティング

→ミックスボイス

 

みたいなイメージです(人によって少しずつ違いますが!)

 

基本的に多くの指導者は、自分の立ち位置(次元、型)から生徒に指導を行います。指導者によって指導内容が変わるのはこうした理由が大きいのですが、もうひとつあります。

 

それは、

生徒に反転次元を超えさせようとするとき

です。

 

チェストボイスを極めたとしても、

ヘッドボイスを極めたとしても、

それだけではミックスボイスに至る日は永遠に来ません。

 

「胸の中にファルセットの響きを作る」とか、

「チェストボイスを頭の向こうに響かせる」とか、

普通に考えたら「何を言っているんだ?」というこれらの言い回しは、チェストボイスとヘッドボイスのレベルが高く、かつミックスボイス習得のために反転次元に入っている人にしか理解が出来ないものです。

 

複数のアドバイスをもらった時、どれを信じたらいいのか?

今日のまとめです。

大切なことはふたつあります。

ひとつめは、「自分は今どこの次元にいて、どの型を習得するためにトレーニングしているのか?」を明確化すること。

ふたつめは「指導者の意図がどこにあるのか、何をさせたくてそれを言っているのか、きちんと把握すること」です。

 

指導者の言っていることがよく分からなければ、直接どういう意味なのか尋ねるのが1番いいのですが、なかなか難しいこともありますよね。

 

だからいつも、想像力を働かせておく必要があります。ラグビーにせよサッカーにせよ、今コーチングにおけるスタンダードは「プレイヤーが脳をフル回転させて、自分で考えること」が最も大切だと言われています。

 

いつも、自分に問いかけましょう。

 

「いま自分は、なんのために練習しているのか?」

「目的と合致した指導者の意見はどれか?」

 

自分の目的と合致した意見を聞くこと。

そして、いまの自分のレベルでは進めない次の次元について指導者が言っている場合は、それを感じ取り、参考にすること。

 

こうした姿勢を持つことが、声を改善するためにとても役立ちます。

 

 

 

 

 

さて、今日はここまでです!🍀

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!𓆏

第17回「ゴールとエンドゲイニング」

こんにちは!堀江真鯉男です。

YouTubeを始めた関係で、なかなかブログが更新できず申し訳ない😭

 

さて、今日みなさんにお伝えする内容は

 

「エンドゲイニングは歌が上達しにくい」

そして

「歌の上達にはゴール設定が必要不可欠」

 

というお話です。

歌が上達しにくいなんて、

イヤな話ですね?

 

「いや、そもそもエンドゲイニングとかゴールってなに…?」

 

まずは、そんな疑問から答えていきたいと思います。

 

ゴールエンドゲイニング

歌の練習や芝居の練習をするとき、みなさんはどんなことを意識しますか?

 

「あんなふうに歌えたらいいなあ」「真心をこめて歌いたいな」「人に伝わるように歌えたらいいなあ」とか、「指導書の通りにやってみよう」「方法論を守ろう」「ちゃんと身体や呼吸を意識して言われた通りにやろう」など、人によって様々なことを思うのではないでしょうか。

 

もちろん、上手くなるための方法はひとつではありませんし、抽象的な目標があっても、具体的な手段を選んでも、そのどちらも間違いではないと思います。

 

ただこの時に「ハマってはいけない危険なトレーニング」があることを、みなさんはご存知でしょうか。

 

それは、

「手段が目的化してしまう練習」

です。

 

一体どういうことかと言うと、

たとえば「ミックスボイスを習得するために、ひたすら裏声と地声を行き来する練習をする」とか「のどを開くために、ひたすらOの口とのど(声道)で呼吸をする」といった練習は「能力を高めるため」には役立ちます。しかしそれらを習得したからと言って、歌が上手くなるわけではありません。

 

ピアノに例えてみます。

 

ここに、2台のピアノがあるとします。

1台は1,000万円のピアノ

もう1台は30万円のピアノだとします。

 

ピアノを始めた初心者は、どちらを弾いたとしても上手くは弾けません。もちろん、1,000万円のピアノを弾いたら30万円のピアノに比べればいい音は出るかもしれませんが、決して演奏が上手いわけではないですよね。

 

では、プロのピアニストが2台のピアノを弾いたらどうでしょうか?

 

1,000万円のピアノで演奏したら、とても素晴らしい音色で表現の幅も広く、多彩な演奏を聴かせてくれると思います。かと言って、30万円のピアノを弾いたら下手なのか?というと全くそんなことはありません。

 

どういうことか、おわかりですね?

 

ボイストレーニングとは、

様々なトレーニングによって、高価な声(高価な楽器)を身体に宿す作業なんです。

 

しかし、それと演奏が上手いかは別の問題です。

ミックスボイスを身につければ歌が上手くなると思っている人がいますが、それは全然違います。歌唱力というのは、技術的な問題だけでは突破できない要素を多く孕んでいます。

 

つまり、どこでクレッシェンドしたかとか、

フォルテやアクセント、リズムが完璧だとか、

そういう技術的問題は

「上手い!」

とは別の話です。

 

「歌心がある」ことと、

「技術力がある」ことは、

イコールではないんです。

 

「技術力」は歌心をより人に伝わるようにするためのツールにすぎないのですが、このように「技術力が高い=歌が上手いはずだ」と勘違いして、ひたすら技術だけを磨き続け、歌心を育成することに注意を注がないと、発声は素晴らしいけれど特に感動しない歌しか歌えない人になってしまいかねません。

 

「こんなふうに想いを伝えたい」とか「心の底から楽しんで歌いたい」「あの人のようにみんなを笑顔にしたい」といった将来的な目標を

「ゴール」

といいます。

 

そうしたゴールを忘れ、「ミックスボイスさえ習得すれば上手くなれるはずだ」「身体や呼吸さえコントロール出来れば上手くなるはずだ」というように、ただの手段でしかないはずの技術そのものを目標にすり替えてしまうことを

「エンドゲイニング」

といいます。

 

目標と手段を意識する

ゴール(自分の理想とする目標)

エンドゲイニング(手段そのものを目標にしてしまう)

 

自分がどこに進んでいるのか?

なんのためにその練習をするのか?

 

こうした問いかけは、ときに自分の練習の方向を正してくれます。

 

たしかに技術力は大切です。

しかしそれ以上に大切なことは、

「大切な人を想うこと」

「想いを伝えること」

「広大な世界を想像すること」

「ファンタジーを信じること」

「誰かの幸せを願うこと」

「感動をシェアすること」

これらはほんの一例ですが、歌を歌うための核心的な部分というのは、こうした「目標を持ち続けること」なのではないでしょうか。

 

そして、これらの目標を達成する手段としてミックスボイスやヘッドボイスの技術を習得したい!というなら、それはとても意義のあることだと思います。

 

技術偏重に陥ってしまう前に、ぜひ、自分に問いかけてみてください。

 

「私は、なんのために歌うんだろう?」

 

何かの参考になれば嬉しいです。

 

 

 

 

さて、今日はここまで!

更新頻度はすこし下がりますが、1週間に1度は必ず発声の記事をあげます!末永くお付き合い頂けたら嬉しいです😭

 

あと!YouTubeTwitterでも発声について投稿してますので、そちらも覗いていただけたらと思います!(急な宣伝!)

 

また次回のコンテンツでお会いしましょう!🐸

第16回「表現力の増やし方」

こんばんは、堀江真鯉男です。

今日、僕が声楽家としてみなさんにお話するのは、

 

「表現力の増やし方」

 

についてです。

どんな方法があるのか、早速一緒に観てみましょう。

 

現力とは?

まずそもそも、表現力とは何でしょうか?

音の強弱などの抑揚?

しゃくりやフォールなどのポップススキルのこと?

 

色んな意見があるとは思いますが、

最も大切なことは

「聴いた人の心の琴線に触れたか?」

に尽きると思います。

 

発声や音楽能力は高いのに、全く心に響かない歌を歌う歌手もいる一方で、

発声は未熟、音程やリズムは甘くても、心の琴線に触れる歌が歌える歌手もいます。

 

この差は一体、何なのでしょうか?

実は表現力の謎を紐解くカギも、変性意識状態にあります。

 

変性意識状態(altered state of consciousness、略してASC)は、身体を極度にリラックスさせた時に見聞きした情報が脳内にアップデートされやすい状態のことをいいます。また、インスピレーションが働きやすくなる状態でもあります。

 

琴線に触れる=臨

もしも楽曲に対してインスピレーションが働きやすくなったら、表現力はどうなるでしょうか?結論は、これまでにやりたくても出来なかったような微細な表現が可能になります。

 

ただここで気をつけなければならないのが、

「自分の歌唱スキルの範囲内でしか、インスピレーションを表現に変換できない」

という点にあります。

 

つまり、

アイディアが豊富でも、

発声の基礎技術や歌唱力が伴っていなければ

歌のクオリティはいつまでも上がらない

とも言うことができます。

 

歌唱力の中でも特に大切なのは

  1. 「音楽的にフレーズを繋げて歌う方法」
  2. 「言葉のひとつひとつを語るように歌う方法」

この2つがあり、

歌が上手く聞こえる条件はこの2つに対して

 

「どんな感情を込めるのか?どの言葉を大切にしたいのか?どんな景色を共有したいのか?そのためには、どうフレーズを繋げ、どう言葉を語れば良いのか?」

 

などのアイディアに対して「どうすれば表現したように聞こえるのか?」といった方法を探る必要があります。

 

そのためにはまず変性意識状態(極端なリラックス)になり、歌詞の内容や音楽の雰囲気、エネルギーに合っている感情を見つけることが大切です。

 

人は「ミラーリング」という心理的作用の影響を受けやすいようになっていて、相手が怒っていれば対面した人は不安になりやすく、相手が朗らかでいると対面した人は気が楽になりやすい、ということが起きます。

 

感情表現においても、自分が本当にその感情に入り込んだり、本気で何かを伝えようと真剣であるとき、その表現はミラーリング作用で相手に伝わりやすくなります。

 

そしてこのミラーリングこそが「聴いた人の心の琴線に触れる」ための最初の一歩になります。

☆今日のトレーニン

曲は、表現力を磨くヒントになる意識付けの方法をひとつご紹介します。

 

フレーズと語りに表現を加える

  1. 極端にリラックスして、曲に合った感情を探す
  2. 曲に合った感情になり、フレーズを繋げて歌う
  3. 曲に合った感情になり、言葉を語るように歌う

 

ぜひ、参考にしてみて下さい。

 

 

 

 

今日はここまでです!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました𓆏

 

第15回「体得と置き換え、シナスタジア」

こんにちは、声楽家の堀江真鯉男です。

今日はみなさんに、

 

「シナスタジア(共感覚)は誰でも学べる」

 

というテーマでお話させて頂きます。

このシナスタジアという言葉、みなさんはどこかで聞いたことがあるでしょうか?

 

まずは言葉の説明と、定義付けからしていきたいと思います。

 

シナスタジア(共感覚)とは?

シナスタジアを一言で言うならば、

「モーダルチャネル(五感と言語)の感覚を入れ替える」

という能力のことです。

 

「モーダルチャネルの感覚を入れ替える?どういう意味だ?」

 

たしかに、よくわからないですよね?

シナスタジアについてもっと細かく考えるためには、以前のブログでお話した「サブモダリティ」について細かに観ていく必要があります。

 

五感と言葉、それと脳機能を繋ぐチャンネルのことを「モーダルチャネル」と呼び、モーダルチャネルの細かなパラメーター設定のことを「サブモダリティ」と呼びましたね。

 

このサブモダリティの細かなパラメーター設定を、視覚と聴覚を例に見て見ましょう。

 

視覚のサブモダリティ「○○を観る」

例:明るさと暗さ、形、サイズ感や規模、奥行きや凹凸、高低差や距離、色合いや鮮明さのコントラスト、透明度、硬さと柔らかさ、光沢があるかマットか、など

聴覚のサブモダリティ「○○を聴く」

例:音色の明るさと暗さ、音の形や波形、音の大小、強弱などのコントラスト、音の奥行きや凸凹、音程の高低差や届く距離、音色の色合いや鮮明さ、音の透明度、音色の硬さと柔らかさ、音質に光沢があるかマットか、音の重たさと軽さ、フレーズの長短、など

 

こうした細かなパラメーター設定は、もちろん嗅覚や味覚、触覚にもあります。でも実際には現時点ではまだ科学的に定義されていないだけで、他にもモーダルチャネルは沢山あります。たとえば歌手が好んで使う感覚には「呼吸感覚」「筋感覚」「時間感覚」「数理感覚」などがあります。

 

では、これらを一覧にして見てみましょう。

 

モーダルチャネル

科学的に定義されたもの

  1. 言語感覚
  2. 視覚
  3. 聴覚
  4. 嗅覚
  5. 味覚
  6. 触覚

現時点では科学的に定義されていないもの

  1. 筋感覚
  2. 呼吸感覚
  3. 時間感覚
  4. 数理感覚(数量の感覚、数理科学や天文学)

 

いま挙げた「科学的には定義されていないモーダルチャネル」にも細かなパラメーター設定があり、そうした感覚の全てが「センス」と呼ばれています。

 

体得と置き

こうしたサブモダリティ(モーダルチャネルの細かなパラメーター設定)」のチューニング作業は、実は多くの人が日々あたりまえにやっていることです。細かなチューニングを行い、それを自分の手足のように使いこなすことを「メソード演技」という演技手法の用語に習って「体得」と呼びます。

 

体得ほんの一例を挙げると、料理について勉強を始めた人が最初は味付けや調理時間がよく分からないために美味しくない料理を作ってしまうのに対し、徐々に「食材を捌く筋感覚」「微細な味を判断できる味覚」「適切な調理を行う時間感覚」「肉の焼ける音で火の通り具合を判断する聴覚」「食材の鮮度を判断する視覚嗅覚」「調味料などの細かな分量を決める数字感覚」といった細かなパラメーターのチューニングが出来るようになっていきます。

こうしたモーダルチャネルの感覚が記憶に定着し、その感覚を反射的に思い出せる状態を体得といいます。

 

ではこれら細かなパラメーターのチューニングを体得したら、それでセンスは最大まで鍛えられたことになるのか?というと、実はまだ先のレベルがあります。

 

先程の料理の例には続きがあって、

料理センスが磨かれていくと食材を捌く感覚(筋感覚)や、調理にかけた時間(時間感覚)、肉の焼ける音(聴覚)、食材の鮮度の判断(視覚や嗅覚)、調味料の分量(数字感覚)」といった個別の感覚は、

これはきっと美味しくなる」とか「これはたぶん美味しくならない」といった味覚のモーダルチャネルへと置き換えられるようになります。

 

このように、

サブモダリティの細かなチューニングを体得

体得した感覚を別の感覚に置き換え

感覚が無意識レベルで置き換えられることを

「シナスタジア(共感覚)」

といいます。

 

☆今日のトレーニン

今日は、体得と置き換えのトレーニングをひとつご紹介します。

 

体得と置き換えトレーニン

  1. 身の回りのもの(かばんやペットボトル、ペンやノートなど)をひとつ用意する
  2. 用意したものを「様々な角度で目で観る」「叩くなどして音を聴く」「匂いを鼻で嗅ぐ」「全体を指で触る」「(可能なら)口に入れて味見する」などして、五感で調べる
  3. 目をつぶって、五感の感覚を出来るだけ細かく全て思い出す(想像する)
  4. 目を開けて、想像とどれくらい誤差があったか確かめる
  5. 上記を5回繰り返す
  6. 五感を置き換える。
  • 観た時に、を思い出す」
  • 音を出した時に、匂いを思い出す」
  • 嗅いだ時に、触った感じを思い出す」
  • 触った時に、を思い出す」
  • 口に入れた時見た目を思い出す」

※五感は自由に置き換えてOK

 

 

 

 

 

さて、今日はここまでです!

ぜひ参考になさってみて下さい。

 

最後まで読んで頂き、

ありがとうございました!𓆏

𓆏「発声講座まとめ2」第8回〜第14回ブログ

こんばんは、堀江真鯉男です。

このブログでは「声を良くする!テクニック」として、声楽家として自分が日頃気づいたこと、学んだことをまとめるために書き記しています。声の悩みを改善するサポートとして、何か皆さんのお役に立てたら嬉しいです。

 

今回は第8回〜第14回のまとめです。

 

このページを読むだけでもかなり刺激になると思うので、ぜひ参考にしてみて下さい!

 

8回〜第14回まとめ

 

8回「ボイストレーニングの基礎知識」

地声と裏声の区間を総称して「声区(せいく)」と呼ぶ。声区には「不完全声区融合(未発達の地声と裏声)」「声区分離(チェストボイス、ヘッドボイス)」「声区融合(ベルティング、ミックスボイス)」の3つのレベルがある。

 

9回「母音の純化

息を吸う際の母音」による声質変化を3つに分けて「ミドルボイス(喉仏が真ん中の声)」「ハイラリンクス(喉仏が上がった声)」「ローラリンクス(喉仏が下がった声)」と呼ぶ。どんな発音をする時もOの声道(声の通り道)を保つことを「母音の純化」と呼ぶ。

 

10回「声質と共鳴区」

声が響くポイントは「咽頭内、口腔内、鼻腔内、胸腔内」などがあり、これらを「共鳴区」と呼ぶ。どの共鳴区に響かせるかによって声質が変わる。コントロールには身体の内的な感覚「筋感覚」を使う。

 

11回「五感とサブモダリティ」

言語感覚と五感」を合わせた感覚の入出力チャネルを「モーダルチャネル」と呼ぶ。モーダルチャネルの圧倒的に細かいパラメーター設定を「サブモダリティ」と呼び、これがセンスの正体である。

 

12回「情動記憶とインステイト」

今日から過去までの感情的な体験の記憶を「情動記憶」と呼ぶ。「想像の世界に、五感の感覚と情動記憶を使ってリアリティーを感じながら入り込む」という技術を「インステイト」と呼ぶ。

 

13回「学習臨界期と絶対音感

学習限界年齢を「臨界期」と呼び、略して「学習臨界期」とする。絶対音感は学習臨界期を突破することが出来れば再習得できる。

 

14回「ディレクションとルーティン」

発声の改善とは「習慣の癖(ハビット)」と「選択の癖(アティテュード)」を変えて「新たなディレクション(方向性)」に癖を直すことである。そのためには「新たなルーティン(決まった動作)を習慣化し、この新たなルーティンをいつも最初に選択する」ことが必要になる。

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

発声の改善って、けっこう色んな要素があるんだな〜くらいに思っていただければ良いなあと思います!

 

今回の第8回〜第14回まとめ、

ぜひ、参考にしてみて下さい。

 

最後まで読んで頂き、

ありがとうございました𓆏

 

 

第14回「ディレクションとルーティン」

こんばんは、堀江真鯉男です。

このブログでは「声を良くする!テクニック」として、声楽家として自分が日頃気づいたこと、学んだことをまとめるために書き記しています。声の悩みを改善するサポートとして、何か皆さんのお役に立てたら嬉しいです。

 

さて、今日のテーマは

 

ディレクションとルーティン」

 

についてです。

結論から言うと、

 

癖を変えれば

声が出しやすくなる

 

というお話です。

 

さて、また聞きなれない単語が出てきましたね。

 

ディレクション???

ルーティン???

聞いたことがないなあ。

 

このどちらも、一般的には声楽やボイストレーニングでは使われない用語です。これらは一体、声の改善にどう役立つのでしょうか?

 

習慣と選択、身体の

声を出すためには、身体を使いますよね。

発声練習をする時に大切なポイントは7つあり、東洋的な発声システムの中では「尾てい骨、臍下丹田、腰椎、胸、首、眉間、頭頂部」の7箇所のケア、トレーニング、コントロールが大切だと言われています。

 

そして多くの人は日常生活を送る中で、この7箇所を中心にさまざまなクセを持っています。デスクでずっと同じ姿勢でいる、満員電車で身体を縮こまらせている、寝る前にスマホを見ている時間が長い、長時間のゲームで姿勢が固まるなど、

 

身体にストレスのかかる姿勢が長く続くと、その姿勢は習慣化されてしまいます。

こうした「無意識、無自覚に生活パターンの中で身についた癖」を

「習慣の癖(ハビット)」

といいます。

 

また、「ゲームをするか、仕事をするか、読書するか、食事にいくか、買い物に行くか」などの選択肢が目の前にあるとき、その人の趣味や嗜好によって「どれを最初に選択するか?」も違ってきます。

発声で言うなら、歌う前に

  1. 「声と呼吸、身体のケア」
  2. 「声と呼吸、身体のトレーニング」
  3. 「声と呼吸、身体のコントロール
  4. 「声と呼吸、身体の不干渉(何もしないこと)」

など、「どれを最初に選択するか?どれを最重要視するか?」は人によって違います。

こうした「いくつか選択肢がある時、最初に何を選ぶか?の癖」を

「選択の癖(アティテュード)」

といいます。

 

日常生活の中で

「いつもデスクに向かった時の姿勢が悪くて首がこる、いつも電車でスマホを見すぎて猫背になる、いつも寝る前にうつ伏せから上体を起こして読書するので胸が硬くなる」

などは「習慣の癖(ハビット)」ですし、

 

もし誰かに

「歌う前に発声練習をするのと、身体のストレッチするのと、呼吸訓練をする、あるいは何もしない。どれがひとつ選ぶなら、どれがいい?」

 

と提示された時に、自分がいつも優先的に選ぶものが「選択の癖(アティテュード)」です。

 

発声は、身体と呼吸の状態にものすごく大きな影響を受けます。

 

言い方を変えるなら

 

発声を改善するというのは

「習慣の癖」と「選択の癖」を変えて

良い癖が付くように改善すること

 

ということになります。

では、どのように癖を変えたらいいのでしょうか?

 

たな習慣と選択

身体に染み付いた「習慣の癖」と「選択の癖」は、簡単に変えるものではありません。そうした習慣と選択をやめて「良い癖が付くように改善すること」を

 

ディレクション(方向付け)」

 

といいます。

ディレクションは通常「決まった手順」や「決まった動作」を繰り返し行うことで強化されます。この「決まった手順」や「決まった動作」のことを

 

「ルーティン(繰り返されるもの)」

 

といいます。

「習慣の癖」と「選択の癖」を変える唯一の方法は、「新たなルーティンを習慣化し、新たなルーティンを最初に選択する」ことでのみ変えることができます。

 

自分の新たなディレクション(方向付け)には

「もっと身体をケアして健康になりたい」

「もっとラクに声が出るようにしたい」

「もっと深い呼吸がしたい」

などがあり、それを実行するためには新たなルーティンの習慣化と選択が必要になります。

 

このルーティンは「自分が何を新たなディレクションにするのか?」によって違うので、一概に「この方法がいい」とは言えないものです。

 

しかし、東洋の発声研究で言われている「身体の7つのポイント(チャクラ)」をケアするという意味では、まずは声を出す前に

  1. 尾てい骨まわり
  2. おへそまわり
  3. 腰まわり
  4. 胸周り
  5. 首周り
  6. 目の周り
  7. 頭頂部

この7箇所をほぐすことを徹底するのがいいと思います。

 

☆今日のトレーニン

身体をケアしたりストレッチするにしても、そんな時間も場所も、なかなか取れないですよね。

ですので今日は、電車の移動中、授業中、会社のデスクなど、どこでもできて確実に効果がある方法をひとつご紹介します。

 

手と身体のストレッチ

以下、深呼吸しながら行って下さい

  1. 左右の親指を、眼の高さ引っ張り合う
  2. 左右の人差し指を、喉の前で引っ張り合う
  3. 左右の中指を、胸の前で引っ張り合う
  4. 左右の薬指を、へその前で引っ張り合う
  5. 左右の小指を、股関節の前で引っ張り合う

※それぞれ指をカギ型に曲げて絡め、引っ張り合う

※最初はどちらの指が上でも構いません。上下を変えながらやると、一層効果があります。

 

このストレッチをルーティン化するだけでも、随分と「声と呼吸、身体」の質が変わってきます。

歌う前や喋る前に行うことで、格段に声が出しやすくなります!

 

ぜひ、参考になさってみて下さい。

 

 

 

 

 

さて、今日はここまでです!

また次回もお楽しみに𓆏