堀江真鯉男/発声の教科書

「声=息=体」のボイトレ

第17回「ゴールとエンドゲイニング」

こんにちは!堀江真鯉男です。

YouTubeを始めた関係で、なかなかブログが更新できず申し訳ない😭

 

さて、今日みなさんにお伝えする内容は

 

「エンドゲイニングは歌が上達しにくい」

そして

「歌の上達にはゴール設定が必要不可欠」

 

というお話です。

歌が上達しにくいなんて、

イヤな話ですね?

 

「いや、そもそもエンドゲイニングとかゴールってなに…?」

 

まずは、そんな疑問から答えていきたいと思います。

 

ゴールエンドゲイニング

歌の練習や芝居の練習をするとき、みなさんはどんなことを意識しますか?

 

「あんなふうに歌えたらいいなあ」「真心をこめて歌いたいな」「人に伝わるように歌えたらいいなあ」とか、「指導書の通りにやってみよう」「方法論を守ろう」「ちゃんと身体や呼吸を意識して言われた通りにやろう」など、人によって様々なことを思うのではないでしょうか。

 

もちろん、上手くなるための方法はひとつではありませんし、抽象的な目標があっても、具体的な手段を選んでも、そのどちらも間違いではないと思います。

 

ただこの時に「ハマってはいけない危険なトレーニング」があることを、みなさんはご存知でしょうか。

 

それは、

「手段が目的化してしまう練習」

です。

 

一体どういうことかと言うと、

たとえば「ミックスボイスを習得するために、ひたすら裏声と地声を行き来する練習をする」とか「のどを開くために、ひたすらOの口とのど(声道)で呼吸をする」といった練習は「能力を高めるため」には役立ちます。しかしそれらを習得したからと言って、歌が上手くなるわけではありません。

 

ピアノに例えてみます。

 

ここに、2台のピアノがあるとします。

1台は1,000万円のピアノ

もう1台は30万円のピアノだとします。

 

ピアノを始めた初心者は、どちらを弾いたとしても上手くは弾けません。もちろん、1,000万円のピアノを弾いたら30万円のピアノに比べればいい音は出るかもしれませんが、決して演奏が上手いわけではないですよね。

 

では、プロのピアニストが2台のピアノを弾いたらどうでしょうか?

 

1,000万円のピアノで演奏したら、とても素晴らしい音色で表現の幅も広く、多彩な演奏を聴かせてくれると思います。かと言って、30万円のピアノを弾いたら下手なのか?というと全くそんなことはありません。

 

どういうことか、おわかりですね?

 

ボイストレーニングとは、

様々なトレーニングによって、高価な声(高価な楽器)を身体に宿す作業なんです。

 

しかし、それと演奏が上手いかは別の問題です。

ミックスボイスを身につければ歌が上手くなると思っている人がいますが、それは全然違います。歌唱力というのは、技術的な問題だけでは突破できない要素を多く孕んでいます。

 

つまり、どこでクレッシェンドしたかとか、

フォルテやアクセント、リズムが完璧だとか、

そういう技術的問題は

「上手い!」

とは別の話です。

 

「歌心がある」ことと、

「技術力がある」ことは、

イコールではないんです。

 

「技術力」は歌心をより人に伝わるようにするためのツールにすぎないのですが、このように「技術力が高い=歌が上手いはずだ」と勘違いして、ひたすら技術だけを磨き続け、歌心を育成することに注意を注がないと、発声は素晴らしいけれど特に感動しない歌しか歌えない人になってしまいかねません。

 

「こんなふうに想いを伝えたい」とか「心の底から楽しんで歌いたい」「あの人のようにみんなを笑顔にしたい」といった将来的な目標を

「ゴール」

といいます。

 

そうしたゴールを忘れ、「ミックスボイスさえ習得すれば上手くなれるはずだ」「身体や呼吸さえコントロール出来れば上手くなるはずだ」というように、ただの手段でしかないはずの技術そのものを目標にすり替えてしまうことを

「エンドゲイニング」

といいます。

 

目標と手段を意識する

ゴール(自分の理想とする目標)

エンドゲイニング(手段そのものを目標にしてしまう)

 

自分がどこに進んでいるのか?

なんのためにその練習をするのか?

 

こうした問いかけは、ときに自分の練習の方向を正してくれます。

 

たしかに技術力は大切です。

しかしそれ以上に大切なことは、

「大切な人を想うこと」

「想いを伝えること」

「広大な世界を想像すること」

「ファンタジーを信じること」

「誰かの幸せを願うこと」

「感動をシェアすること」

これらはほんの一例ですが、歌を歌うための核心的な部分というのは、こうした「目標を持ち続けること」なのではないでしょうか。

 

そして、これらの目標を達成する手段としてミックスボイスやヘッドボイスの技術を習得したい!というなら、それはとても意義のあることだと思います。

 

技術偏重に陥ってしまう前に、ぜひ、自分に問いかけてみてください。

 

「私は、なんのために歌うんだろう?」

 

何かの参考になれば嬉しいです。

 

 

 

 

さて、今日はここまで!

更新頻度はすこし下がりますが、1週間に1度は必ず発声の記事をあげます!末永くお付き合い頂けたら嬉しいです😭

 

あと!YouTubeTwitterでも発声について投稿してますので、そちらも覗いていただけたらと思います!(急な宣伝!)

 

また次回のコンテンツでお会いしましょう!🐸