第14回「ディレクションとルーティン」
こんばんは、堀江真鯉男です。
このブログでは「声を良くする!テクニック」として、声楽家として自分が日頃気づいたこと、学んだことをまとめるために書き記しています。声の悩みを改善するサポートとして、何か皆さんのお役に立てたら嬉しいです。
さて、今日のテーマは
「ディレクションとルーティン」
についてです。
結論から言うと、
癖を変えれば
声が出しやすくなる
というお話です。
さて、また聞きなれない単語が出てきましたね。
ディレクション???
ルーティン???
聞いたことがないなあ。
このどちらも、一般的には声楽やボイストレーニングでは使われない用語です。これらは一体、声の改善にどう役立つのでしょうか?
習慣と選択、身体の癖
声を出すためには、身体を使いますよね。
発声練習をする時に大切なポイントは7つあり、東洋的な発声システムの中では「尾てい骨、臍下丹田、腰椎、胸、首、眉間、頭頂部」の7箇所のケア、トレーニング、コントロールが大切だと言われています。
そして多くの人は日常生活を送る中で、この7箇所を中心にさまざまなクセを持っています。デスクでずっと同じ姿勢でいる、満員電車で身体を縮こまらせている、寝る前にスマホを見ている時間が長い、長時間のゲームで姿勢が固まるなど、
身体にストレスのかかる姿勢が長く続くと、その姿勢は習慣化されてしまいます。
こうした「無意識、無自覚に生活パターンの中で身についた癖」を
「習慣の癖(ハビット)」
といいます。
また、「ゲームをするか、仕事をするか、読書するか、食事にいくか、買い物に行くか」などの選択肢が目の前にあるとき、その人の趣味や嗜好によって「どれを最初に選択するか?」も違ってきます。
発声で言うなら、歌う前に
など、「どれを最初に選択するか?どれを最重要視するか?」は人によって違います。
こうした「いくつか選択肢がある時、最初に何を選ぶか?の癖」を
「選択の癖(アティテュード)」
といいます。
日常生活の中で
「いつもデスクに向かった時の姿勢が悪くて首がこる、いつも電車でスマホを見すぎて猫背になる、いつも寝る前にうつ伏せから上体を起こして読書するので胸が硬くなる」
などは「習慣の癖(ハビット)」ですし、
もし誰かに
「歌う前に発声練習をするのと、身体のストレッチをするのと、呼吸訓練をする、あるいは何もしない。どれがひとつ選ぶなら、どれがいい?」
と提示された時に、自分がいつも優先的に選ぶものが「選択の癖(アティテュード)」です。
発声は、身体と呼吸の状態にものすごく大きな影響を受けます。
言い方を変えるなら
発声を改善するというのは
「習慣の癖」と「選択の癖」を変えて
良い癖が付くように改善すること
ということになります。
では、どのように癖を変えたらいいのでしょうか?
新たな習慣と選択
身体に染み付いた「習慣の癖」と「選択の癖」は、簡単に変えるものではありません。そうした習慣と選択をやめて「良い癖が付くように改善すること」を
「ディレクション(方向付け)」
といいます。
ディレクションは通常「決まった手順」や「決まった動作」を繰り返し行うことで強化されます。この「決まった手順」や「決まった動作」のことを
「ルーティン(繰り返されるもの)」
といいます。
「習慣の癖」と「選択の癖」を変える唯一の方法は、「新たなルーティンを習慣化し、新たなルーティンを最初に選択する」ことでのみ変えることができます。
自分の新たなディレクション(方向付け)には
「もっと身体をケアして健康になりたい」
「もっとラクに声が出るようにしたい」
「もっと深い呼吸がしたい」
などがあり、それを実行するためには新たなルーティンの習慣化と選択が必要になります。
このルーティンは「自分が何を新たなディレクションにするのか?」によって違うので、一概に「この方法がいい」とは言えないものです。
しかし、東洋の発声研究で言われている「身体の7つのポイント(チャクラ)」をケアするという意味では、まずは声を出す前に
- 尾てい骨まわり
- おへそまわり
- 腰まわり
- 胸周り
- 首周り
- 目の周り
- 頭頂部
この7箇所をほぐすことを徹底するのがいいと思います。
☆今日のトレーニング
身体をケアしたりストレッチするにしても、そんな時間も場所も、なかなか取れないですよね。
ですので今日は、電車の移動中、授業中、会社のデスクなど、どこでもできて確実に効果がある方法をひとつご紹介します。
手と身体のストレッチ
以下、深呼吸しながら行って下さい
- 左右の親指を、眼の高さで引っ張り合う
- 左右の人差し指を、喉の前で引っ張り合う
- 左右の中指を、胸の前で引っ張り合う
- 左右の薬指を、へその前で引っ張り合う
- 左右の小指を、股関節の前で引っ張り合う
※それぞれ指をカギ型に曲げて絡め、引っ張り合う
※最初はどちらの指が上でも構いません。上下を変えながらやると、一層効果があります。
このストレッチをルーティン化するだけでも、随分と「声と呼吸、身体」の質が変わってきます。
歌う前や喋る前に行うことで、格段に声が出しやすくなります!
ぜひ、参考になさってみて下さい。
さて、今日はここまでです!
また次回もお楽しみに𓆏