堀江真鯉男/発声の教科書

「声=息=体」のボイトレ

第8回「ボイストレーニングの基礎知識」

こんばんは、堀江真鯉男です。

今日は、

 

ボイストレーニングの基礎知識」

 

について、お話します。

 

ボイストレーニング。それは多くの場合、歌手や役者、声優、ナレーターといった「声を武器として使う職業」の人々を鍛える方法のひとつです。今回は話を絞るために、歌手のボイストレーニングに限定して説明します。

 

声には「かっこいい声」「柔らかい声」「パワフルな声」「ものすごく響く声」などありますが、そうした声は様々な発声トレーニングをすることで、ある程度までは使いこなせるようになります。(ある程度、というのは、それぞれの発声は人によって得意不得意がある、という意味ですので悪しからず)

 

なお、これから説明する内容は、現状では様々な流派、主義主張があり、意見の相違があります。ここでは「発声」について最も研究されていた時代のひとつ、クラシック音楽におけるバロック時代の発声システムを元にして説明していきます。

 

声区3つのカテゴリー

世の中にはさまざまな発声がありますが、あらゆる発声練習を包括的に説明するなら

「地声と裏声のトレーニング」

のことを、今日ではボイストレーニングと呼んでいます。

そして、地声の区間、裏声の区間を総称して

「声区(せいく)」

といいます。

 

ボイストレーニングとは、言い換えれば「声区の状態を変える訓練」のことです。そしてこの声区の状態には、主に3つのカテゴリーがあります。

 

  1. 不完全声区融合
  2. 声区分離
  3. 声区融合

 

声区の状態は、

この3つのカテゴリーのどれかに属しています。

 

 

1.不完全声区融合

地声と裏声が未発達で、それぞれがひ弱な状態。声区を行き来する時、発声がひ弱すぎて声区の変わり目(ブレイク地点)がよく分からない場合がある。

主に、以下の2つがこのカテゴリーに入る。

 

【未発達の地声】

話声位(話し声)で使われる。

音程や声色のコントロールが効きにくい。

 

【未発達の裏声/ファルセット】

話声位(話し声)で使われる。主に女性の和声位。

音程や声色のコントロールが効きにくい。ただしこのファルセットは、Jpopなどで表現のために使われることも多い。

 

 

2.声区分離

地声と裏声がそれぞれ発達した状態。声区を行き来する時、声区の変わり目(ブレイク地点)がはっきり変化するのが特徴。Jpopで使われることが多い。

主に、以下の2つがこのカテゴリーに入る。

 

【胸声/チェストボイス】

胸に響くようトレーニングされた地声。

 

【頭声/ヘッドボイス】

頭に響くようトレーニングされた裏声。

同じポイントに響くよう訓練された地声のことも頭声と呼ぶ場合が多い。

 

 

3.声区融合

鍛えられた地声と裏声をスムーズに行き来できる状態。声区を行き来しても声区の変わり目(ブレイク地点)が分かりにくく、胸声と頭声の量成分が同時に響いているように聴こえるのが特徴。オペラやミュージカルで使われることが多い。主に、以下の2つがこのカテゴリーに入る。

 

【ベルティング】

胸声と頭声を、眉間や鼻腔のピンポイントに集めた(ように聞こえる)声。力強く金属質な響きが特徴。

 

【ミックスボイス】

胸声と頭声を、全身(身体の7箇所)に響かせた声。柔らかさ、美しさ、荘厳さが特徴。

 

※これらの声区トレーニング(地声と裏声のトレーニング)を行う際、ピアノなどの楽器を使って音程のサポートを受けながら発声練習をすることが多い。

 

ボイストレーニング

基本的概念

ここまで、ボイストレーニングの基礎知識についての紹介をしてきました。今度は、ボイストレーニングの基本的概念について少し触れてみます。ボイストレーニングの基本的概念を考える上で、これまでに紹介してきた

 

「声の状態=呼吸と身体の状態」

 

という考え方を使います。

更に情報をアップデートして、

 

「声区の状態=呼吸と身体の状態」

 

と考えて見ましょう。

ここでは「声区」、そしてこれまでにブログで書いてきた「呼吸」「身体」についても並列的に見ていきます。

 

声区には「不完全声区融合」「声区分離」「声区融合」という3つのカテゴリーがある。


呼吸には「息を吸う」「息を止める」「息を吐く」という3つのカテゴリーがある。


身体には「股関節」「臍下丹田(へその下)」「腰」「胸」「首」「目」「頭皮」という7つのカテゴリーがある。

 

こうした「声区と呼吸、身体」それぞれがもつカテゴリーを足したり引いたり、掛け算をすることで、発声を改善、訓練していく。

実はこれが、ボイストレーニングの基本的な考え方になります。

 

 

 

 

 

 

 

さて、今日はここまでです!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました𓆏