第7回「センスの鍛え方」
こんにちは、堀江真鯉男です。
今回のテーマは、第1回ブログで少し触れた
「センスの鍛え方」
についてです。センスはとても曖昧な存在で、捉え方がなく、多くの人を悩ませている要素でもあります。そして自分の中に眠っているセンスを引き出すには、どうしたらいいのでしょうか?
うーん。そもそも自分にはセンスがないしなあ…
いいえ、大丈夫です。センスは全ての人にあります。
そしてセンスというものは、年齢と共に磨かれたり、経験値によって成長したりするものです。
つまり、センスには
「アップデートする方法」
があるということになります。
しかしその方法を語る前に、
そもそもセンスって何なのか?
について、考えていきましょう。
センスというブラックボックス
「あいつは絵のセンスがあるよな」
「きみは文章のセンスがある!」
「あの人、歌のセンスあるよね〜」
といったように、ある特定のジャンルで才能を発揮する人に対して
「あの人はセンスがある!」
と言うことが多いのではないでしょうか。
センスのある人の周りには、人々の憧れの眼差しや、賞賛の声が集まってきます。
そんな一方で、センスのある人を見ると悲しくなる人もいます。中には妬んだり恨んだり、怒り出す人もいます。そうした人達の心の底に渦巻いているのは
「自分は、あの人に比べてセンスがない」
という劣等感や自己肯定感の低さ、セルフイメージの低さだと思います。
でも、センスというのは数値化出来るものでもないし、増してや「これがセンス!」と目に見えるものでもありません。それでも人は、こと芸術の分野においてはセンスについて語りたがります。
そもそもセンスとは、何なのでしょうか。
こうした議論をする中でよく上がる意見は
「センスは生まれ持ったもの」
とか、
「センスとは才能のこと」
という人がいます。
つまり、そうした主張の核になっているものは
センスとは不可侵の
後付け出来ない才能のこと
とした思い込みから来ているように感じます。
しかし冒頭に述べたように、そもそも全ての人間にセンスはあります。そしてセンスは年齢や経験値によってアップデートされるものです。
センスがアップデートされる?
何を言ってるんだ?そもそも何を持ってセンスと言うのかもわからないのに?
そんなのできるわけが無いだろ!
そうした声も多くあるかと思います。
では、センスがアップデートされるとはどういうことなのでしょうか。
センス=目に見えない配慮
人は経験値の量によって「物事の捉え方」が変わっていくことがあります。
身近な例で言えば、アルバイトを全くしたことがない人がファミレスに夕飯を食べに行った時、店員が不慣れで手際が悪かったり待たされたりすると
「ああもう、何やってるんだよ」
とイライラしてしまうのに対し、
ファミレスでアルバイトをした事がある人は
「ああ、夕飯時にたった1人でホールを回してるのか…誰か急病で休んだりして、代わりが見つからなかったのかもなあ」
など、置かれた状況の背後にあるものを察することが出来るようになります。そうした配慮の結果
「大変ですね、頑張って下さい」
など、思わず労いの声が出ることもあるのではないでしょうか。
このように「物事の捉え方」は経験値の量で変化し、接客業で言うならば、経験値が増えるごとに「気づき」「おもてなしの心」「労い」「承認」「ホスピタリティ」などの
「目に見えない配慮」
として表現出来るようになっていきます。
「目に見えない配慮」。
これは「声楽の世界」にも通ずるものがあります。
一緒に歌うとすごく歌いやすい人。
アンサンブルのバランス感覚が優れた人。
リーダーシップを発揮できる人。
発語や演奏リズムのタイミングが美しい人。
声に感情を乗せるのが上手い人。
こうした音楽的な「目に見えない配慮」のレベルが高い歌手は、共演者や観客に学びや気づき、感動をもたらしてくれます。そうした人に「センスがある」という評価をすることに、なんら違和感はないと思います。
言い換えるならば
「センスとは、目に見えない配慮のこと」
とも言えます。
こうした「目に見えない配慮」や「些細な気づき」は、
「子供の頃に何を経験したか?」
によっても変化します。
幼少期から培われてきた経験の塊をセンスと呼ぶ人もいますし、センスとは経験に基づく心のあり方だ、言う人もいます。
このような「人生経験に基づく物事の捉え方」を
「ビリーフ」
と呼びます。ビリーフとは、「信念」とか「観念」という意味です。
センスと脳科学
ビリーフ(観念、信念の意)は脳科学で規定された3つの領域の経験値によって生まれます。この領域のことを
- 「モーダルチャネル(五感)」
- 「情動記憶(過去体験)」
- 「メタ認知(自己評価)」
といいます。
そしてビリーフに従って物事をポジティブやネガティブに感じる領域を
「内部表現(ないぶひょうげん)」
といいます。内部表現は、一般的には「心」と呼ばれているものです。
「目に見えない配慮」=センス
と仮定した時、それは同時に
「ビリーフと内部表現」=センス
ということも出来ます。
つまりセンスのアップデート方法とは、
「ビリーフと内部表現」
のアップデート方法のことなのです。
もう少し具体的に言うならば、
センスのアップデート方法とは
「自己評価、過去体験、五感の感覚」
のアップデート方法のこと
だとも言えます。
冒頭で述べたように、センスに対してネガティブな印象を持つ人はたくさんいます。
その多くは
「自分にはセンスがない」
「あの人と比べて自分はダメだ」
という負の感情から生まれていることが多いかと思います。
確かにセンスには、幼少期の体験が少なからず影響しています。過去の音楽体験や美術体験を変えることは出来ません。
「なんだ。これまでの人生が関係あるなら、やっぱり音楽や美術のセンスは後付けじゃ鍛えられないじゃん」
と思う方もいるかもしれません。
しかし脳科学は僕達に
内部表現(心)と観念(自分の常識)はアップデートできる。
つまりセンス(感性)はアップデートが可能である。
という事実を教えてくれます。
そしてこれらが言わんとしていることは
大人になってからでも
音楽体験や美術体験は
幼少期の体験と同じレベルで鍛えられる
という素晴らしい事実です。
今回はセンスについて脳科学から見てみましたが、
ここで終わっては「結局どうすればいいの?」という不安で終わってしまいます。続きはまた後日別のブログで書きますので、そちらをまたご覧いただけたら嬉しいです。
☆今日のトレーニング
さて、センスの説明はまた別の機会に譲るとして、
ここでは「センスを鍛える方法」を1つだけご紹介します。
その方法は、
「ぼーっとしたままYouTubeを観る」
です。
極端な程に全身の力が抜けていると内部表現はアップデートされやすいので、音楽や言語学習などの能力を上げたい人やセンスを磨きたい人は、そうした動画を集中せずにぼーっと見るようにしてください。
残念ながら、今日はここまでです!
最後まで読んで頂き、ありがとうこざいました𓆏