堀江真鯉男/発声の教科書

「声=息=体」のボイトレ

第3回「いい発声の共通点」

こんばんは、堀江真鯉男です。

前回は

 

「上手くなる近道は、

たくさんGoogle検索をすること

 

というお話をさせて頂きました。

今日はその続き、

 

「どうすればインターネットの情報から、正しい体感を得ることが出来るのか?」

 

について話します。

一体どのようにすればいいのでしょう?

 

正しく体感を得る方法とは?

そもそも体の感覚はみんな違うものですし、

誰もが等しく同じ体感を得られる、なんてメソッドは存在していません。

 

声の悩みは人それぞれ違いますし、個別の問題には個別のアプローチ、個別の解決策が必要に思えてきます。

 

そうした各々の悩みに包括的に応えられるトレーニングは、現状存在していないのではないか?そんな気さえしてきます。

 

なあんだ、じゃあ正しい体感を得る方法なんてないんじゃないか

 

そんな声が聞こえてきそうです。

 

これはインターネットに限ったことではありませんが、「誰もが正しい体感を得られるメソッド」は現状、存在していません。

 

「この通りに練習すれば上手くなれる!」

 

と謳っているトレーニング方法や書籍はたくさんありますが、実際にそうした方法で正しい体感を得られるかと言うと、かなり無理があると思います。

 

確かに、メソッドや方法論では正しい体感を得ることは難しいと思います。

 

しかし、

特定のメソッドやトレーニングとは別に、

「正しい体感を得る方法」

は存在しています。

 

なんだか、とんちのようです。

それは一体どのような方法なのでしょうか?

 

古今東西良い発声の共通点

世界には、実に様々な発声が存在しています。

 

たとえばクラシックの伝統的な発声には、オペラを歌うために19世紀に考案されたベルカント唱法や、バロック時代まで主流だった教会音楽を歌うためのブオンカント唱法などがあります。

 

ポップスで言えばマイケル・ジャクソンのボイストレーナーだったセス・リッグスの考案したスピーチ・レベル・シンギング発声(SLS発声)が有名です。

 

他にもインド声楽や仏教、バラモン教ヒンドゥー教に代表されるマントラブルガリア地方の民族音楽であるブルガリアンボイス、モンゴルのホーミー、アフリカピグミー族の歌など、発声は奥が深く、研究のネタが尽きることは無さそうです。

 

そうした古今東西の発声は一見、ばらばらの技術のように見えます。

しかし、それら古今東西の発声を様々な角度から多角的に見ていった時、

全ての発声には一定の共通点が存在していることが次第にわかってきました。

 

どのような共通点かというと、

 

「どのような発声においても、

声と呼吸、身体は必ず連動する」

 

という、一見当たり前の共通点です。

しかしこれは、どのようなジャンルの声の使い方でも変わらない、普遍的な事実でもあります。

 

この普遍的な事実をもっと具体性に言うならば、

 

声の状態=呼吸と身体の状態であり、

呼吸の状態=身体と声の状態であり、

身体の状態=声と呼吸の状態である。

 

と言い換えることもできます。

 

発声の改善=認知の改善

どのような人にも等しく効果があり、

必ず正しい体感を得られる方法。

 

それは、

 

自分の声に起こっている問題は、

呼吸と身体に起こっている問題でもある」

 

と知覚し、認識しながら、発声トレーニングを行うことです。

 

発声のトレーニングで多くの人に起こる失敗は

 

「声色の変化にすごく集中しているのに、ぜんぜん上手くなれない」

 

など、声に集中しすぎてしまう問題です。上手く行かない時は多くの場合、呼吸と身体に集中力が働いていないことが原因のようです。

 

自分の発声を、呼吸の観点から、そして身体の観点から観察することが出来れば、必ず発声は自分が理想とする状態に近づきます。

 

このような視点でトレーニングを続けていくと、

例えば歌手は練習の中で

 

「高い声を出そうとすると苦しくなるなあ。なんでだろう.......あ、そうか!高い声を出す時に身体がちぢこまって、息も止まってしまったからダメだったんだな。じゃあ高い声を出す時は、背伸びするつもりで身体を伸ばしながら息を吐いてみよう」

 

そんなふうに気づくことが増えてきます。

あるいは役者であれば、セリフを喋る時に

 

「声に迫力がなかったな。ただ騒がしいだけで、説得力がない。あー、もしかしたら、大きい声を出そうと身体に力が入りすぎか?息も浅かった気がする。身体を広げて呼吸を深くして、もう1回やってみるかな」

 

など、自分の問題点を探しやすくなります。

このように自分の声に起こっている問題と、呼吸、身体の状態を紐付けて考える事が出来るようになれば、あとは徐々に成果がついてくるものです。

 

さあ、そろそろ今日のまとめを言います。

インターネットから、正しい体感を得る方法。

 

まず大前提として、

正しい体感とは、他人に強要されるものではありません。

そもそも他人の言う「正しい価値観」が、自分にとっての価値観と同じでなければいけない理屈なんてありません。そんなものがもし存在しているならば、それはただの屁理屈です。

 

正しい体感を得て、

必ず発声が良くなる方法。

それは、

 

いつも「声と呼吸、身体」を連動して考え、

成功したときは「声と呼吸、身体」が連動していたのだと気づき、

失敗したときは「声と呼吸、身体」が連動していなかったと気づくこと。

 

この「気づき」を得ることこそが、

あなたにとっての正しい体感を得る、

唯一の方法であり、

必ず発声が良くなる方法です。

 

Google検索やSNSなど、インターネットで手に入れた具体性な情報は全て「声と呼吸、身体」とセットで考えることで、気づき、体感を得ることができて、結果的に発声は必ず良くなります。

 

もちろんこれは、インターネットに限ったことではありません。

 

書籍、授業、レッスンなどのあらゆる場所で得た情報は、「声と呼吸、身体」と関連付けながら「気づきを得る」ことで、最短で上手くなることが出来るようになります。

 

是非、参考にしてみて下さい。

 

 

 

さて、今日はここまで!

「具体性にどんな練習をすればいいのか?」については、後日お話させて頂きます。

 

 

 

 

 

このブログでは、「声の悩みを解決する方法」について綴っていこうと思います。もしよければ、参考になさって下さい。

 

次回の記事もお楽しみに!